RAG と Agentic Search の違いとは?その前に、社内情報が整理されていないとどちらも失敗する理由 

こんにちは、ゼノクリース合同会社の齋藤です。このコラム記事では、企業の Web ガバナンスや最新情報について紹介しています。

この記事の著者

ゼノクリース合同会社 代表(Web
斎藤 智樹

X:@TomokiSaito0920
スタンディングテックのWEB開発コース主任講師を務める。

最近、企業の AI 活用のご相談で「RAG をやりたい」「社内の情報やナレッジを取り込んで AI で参照できるようにしたい」という声をよくお聞きします。そこで話題になるのが、「RAG と Agentic Search、結局どちらが良いのか?」という議論です。 

概要を掴むのにおすすめな記事が、Microsoft のこちらの記事です。 

RAG(Retrieval-Augmented Generation / 検索拡張型生成)は、検索と LLM を組み合わせて、社内や自社のデータに沿った回答を返すパターンです。特に、非公開データや更新頻度の高い情報を扱うときに有効です。 

言い換えれば、AI が回答する直前に、自社の正しい情報を参照させるための土台です。社内規程、製品仕様、FAQ、提案書、議事録などを検索可能な状態にしておき、回答の根拠として AI に使ってもらいます。 

一方で、複雑な質問を複数のサブクエリに分解し、並列に検索し、結果を統合する “agentic retrieval” の考え方も広がっています。Microsoft は上記の Azure AI Search の公式ドキュメントで、これを複雑な質問向けのマルチクエリパイプラインと説明しています。 

サブクエリと言うと難しそうですが、つまりはユーザーの質問が複雑になったときに、その問いを分解し、複数の観点から回答を探し、それらを統合する、場合によってはそこからもう一度考えることによって、より良い回答を導く仕組みです。 

※ “Agentic Search” という言葉は記事によって定義が若干異なるところですが、本記事では、こうした考え方を Agentic Search と呼んでいます。 
※ Azure AI Search の agentic retrieval は、2026年4月11日時点では Public Preview です。 

「企業はどちらを選べばよいか」ではなく、これらは両立する考え方です。ただ重要な点として、これらを効果的に活用する際には、やはり AI へのインプットをきちんと整理する必要があります。 

RAG の土台が弱いまま Agentic Search だけを強くしても、探しに行く先の情報が古い、重複している、権限管理が曖昧、という状態では精度は上がりませんし、他の部署に公開してはいけない回答を AI がしてしまうなどの事故にも繋がりかねません。 

逆に、RAG のために文書を集めただけでも、複雑な問いに対して横断的に探す体験は不足しがちですし、むやみやたらに LLM を使ってその都度その都度検索するのでは、質問ごとの時間やコストがかかりすぎます。 

両方に共通して必要な情報整理のポイント 

RAG でも Agentic Search でも、最初にやることはデータ準備です。私が特に重要だと思うのは、次の 4 つです。 

1) どの情報が正本なのかを決める 

同じ手順書が SharePoint、共有フォルダ、メール添付、PDF でバラバラに存在する状態では、AI がどれだけ賢くなっても混乱します。まず「何を正とするか」を決めることが、RAG の検索精度にも、Agentic Search の横断的な探索にも影響します。 

AI 活用の失敗は、モデル性能より「古い情報が残り続けること」で起きることが多いです。更新者が不明の文書は、そのまま AI が誤答してしまう要因になります。誰が、どの頻度で棚卸しするかまで決めておくと良いでしょう。 

2) 権限管理 

Google の Vertex AI Search では、data source access control によって、ユーザーがもともとアクセス権を持つ文書だけを検索結果に返す仕組みが案内されています。 
Set up data source access control | Vertex AI Search) 
※ Vertex AI Search の data source access control も、2026年4月11日時点では Preview です。 

IdP(ここでは、Google Workspace の認証など)と連携し、既存の権限を踏まえて検索結果を制御する考え方です。 

このような権限管理はかなり重要で、社内検索の使い勝手を上げたい気持ちだけで、権限設計を後回しにすると危険です。検索性が上がるほど、「見えてはいけない情報が簡単に見える」リスクも上がります。 

3) タグ・メタデータ・権限を一緒に整える 

また、作成者・更新者や更新日時などのメタデータを一緒に整えることで、AI が「この情報よりこの情報の方が新しそう」と判断できるようになります。 

文章の内容でその場その場で柔軟に判断でも良いのですが、明確に「この部分を見れば情報が分かる」という形にしておくと、人も管理しやすく、AI でも少ないトークン数で回答を生成できるようになります。 

4) 「探せる形」でインデックス化する 

PDF を置いただけ、共有フォルダに入れただけでは不十分です。AI が扱いやすいように取り込み、見出しや表の構造を踏まえて分割し、検索可能な状態にするところまでが整備です。ここを省くと、どんな検索方式を採用しても精度は頭打ちになってしまいます。 

MAGATAMA Stack の特徴と、何が嬉しいのか 

ここまで述べた「社内情報を安全に集約し、権限付きで取り出せる土台」を、自社で一から作るのは負担が大きいのが実情です。 

GMOプライム・ストラテジーの MAGATAMA Stack は、汎用 RAG 製品で、オンプレミス環境にも構築でき、一般企業のナレッジベース用途にも、業務システムや SaaS のバックエンドにも使うことができます。 

さらに、パイロット版の案内でも Microsoft 365 / Google Workspace 連携の対応も予定されています。 

RAG と Agentic Search を対立で語るのではなく、まずは社内情報を安全に集約し、権限付きで取り出せる土台をつくる。その上で、より複雑な問いに答える検索体験へ広げていく。MAGATAMA Stack は、その最初の土台としても、その先の拡張を見据えた基盤としても相性がよいサービスだと思います。 

まとめ 

AI 活用は、モデル選定の勝負に見えて、実際には情報整理の勝負です。逆に言えば、ここを整えた企業から、RAG も Agentic Search も本当の武器になります。また、今後どんどん賢いモデルが出た時に、よりレバレッジがかかるようになります。 

GMOプライム・ストラテジーでは、こうした整理から AI 活用の基盤づくりまでを支援するサービスを提供しています。自社の AI 活用や Web ガバナンスを見直すきっかけとして、合わせてご検討ください! 

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【この記事の著者】
ゼノクリース合同会社 代表(Web
齋藤智樹

在学中から高校や予備校、IT 企業に携わり、講師とソフトウェアエンジニアとして活動。
大学卒業後 (2020年4月〜) はフリーランスエンジニアとして活動を始め、以下のような幅広い業務を行う。2021年3月に、業務を拡大させるためにゼノクリース合同会社を設立。スタディングテックの WEB 開発コース主任講師も務める。