
こんにちは。執行役員 兼 マーケティング部長の松隈です。
2025年11月にプライム・ストラテジーにJoinし、12月より本職を務めております。前職ではSIerにてエンジニア職と企画/マーケティング職のキャリアをそれぞれ十数年以上積んでまいりました。これらの経験を活かし、「”テクノロジー”と”マーケティング”の二刀流」の視点で、エンジニアの方、マーケティング担当者の方どちらにとっても分かりやすく、かつお役に立てる様なコラムを書いていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
顧客が本当に求めている「価値」とは
マーケティングの世界には、時代を超えてビジネスの本質を突き続ける理論が多数あります。今回は、1960年代にセオドア・レビット博士が提唱し、後にハイテク・マーケティングの父ジェフリー・ムーア氏によって再注目された「ホールプロダクト(Whole Product)」という概念についてお話しします。
「ドリルを買う顧客は、ドリルが欲しいのではなく『穴』が欲しいのだ」という有名な格言がありますが、これもレビット博士の格言であり、ホールプロダクトの概念もこれに通じます。
顧客がある製品を購入した際、そこには必ず「製品そのものが持つ機能(テクノロジー)」と「顧客が期待する解決策(ビジネスゴール)」との間にギャップが存在します。レビット博士は、製品単体(コア)だけではなく、そのギャップを埋めるための補完サービスや補助製品を層のように積み重ねていくことで、初めて顧客にとっての「完全な製品(ホールプロダクト)」になると説きました。
このモデルは、以下の4つの層で構成され、「テクノロジーが提供する機能」を「顧客がビジネスで達成したい結果」へ昇華させるプロセスを示しています。
| 定義 | 解説 | |
|---|---|---|
| 1.コアプロダクト | 顧客が購入する基本的な機能 | 物理的なモノやソフトウェア |
| 2.期待プロダクト | 顧客が最低限クリアされるべきと期待する仕様 | 標準的な使いやすさ、マニュアル、基本サポート、セキュリティのベースライン |
| 3.拡張プロダクト | 顧客の期待を超え、競合との差別化要因となる付加価値 | 性能の向上、高度な統合、ビジネス成果に直結する機能 |
| 4.理想プロダクト | 顧客の目的を完全に達成するための最終形 | 補助製品や補完サービスが完全に出揃った状態。 ※ただし世の中に送り出されている製品の中で理想プロダクトに到達したものはほとんどないとされている |

WordPressとKUSANAGIで読み解く「理想のWeb運用」
このホールプロダクト理論を現代のWebインフラの世界に当てはめてみましょう。世界No.1シェアのCMS「WordPress」と、弊社が提供する超高速CMS実行環境「KUSANAGI」の関係性から、当社が考える「理想のWeb運用」が見えてきます。
- コアプロダクト:WordPress (「コンテンツ」作成機能)
- 顧客のニーズは「デジタルでの情報発信」です。それを実現する基盤として選ばれるのがWordPressというCMSです。しかし、これはあくまで「プログラムの塊」、つまり「情報を登録し表示する機能」に過ぎません。
- 期待プロダクト:テーマとプラグイン (「Webサイト」としての体裁)
- インストール直後のWordPressだけで情報発信ができる企業はありません。デザインを整えるテーマや、フォーム・ECなどの機能を追加するプラグインがあって初めて、Webサイトとしての体を成し、「最低限の期待」を満たします。WordPressはこの「期待プロダクト」である、テーマやプラグインが豊富にあることが評価されシェアを拡大してきたとも言えます。
- しかし、ビジネスの現場ではここで大きな「ギャップ」が生まれます。「サイトは完成したが、表示が遅く、ユーザーが離脱する(直帰率が悪化する)」「アクセス集中でサーバーが落ち、ビジネス機会を損失する」「サイトが改ざんされ、企業の信頼を損なう」これは、標準的なWordPress環境(テクノロジーのベースライン)だけでは解決しきれない、ビジネス成果を阻害する重大な課題です。
- 拡張プロダクト:KUSANAGI (「ビジネスに貢献する性能」という付加価値)
- ここで登場するのが「拡張プロダクト」としてのKUSANAGIです。CMSに最適化され、世界最速クラスの表示速度と強固なセキュリティを提供する実行環境は、単に「サイトが表示されればよい」という期待を超越します。表示速度の向上は、SEO効果の最大化(Googleの評価向上)や、コンバージョン率の改善(ユーザー体験の最適化)といった、ビジネス成果に直結するマーケティング上の価値を提供します。
KUSANAGIという「拡張プロダクト」が、WordPressを「戦える武器」へと拡張するのです。
- ここで登場するのが「拡張プロダクト」としてのKUSANAGIです。CMSに最適化され、世界最速クラスの表示速度と強固なセキュリティを提供する実行環境は、単に「サイトが表示されればよい」という期待を超越します。表示速度の向上は、SEO効果の最大化(Googleの評価向上)や、コンバージョン率の改善(ユーザー体験の最適化)といった、ビジネス成果に直結するマーケティング上の価値を提供します。
- 理想プロダクト:KUSANAGIマネージドサービス (「ビジネスへの100%集中」という目標達成)
- そして、顧客が真に求めている「理想」とは何でしょうか?それは、サーバーの黒い画面(CUI)と格闘することではありません。 Web担当者にとっての理想郷は、「インフラのことはプロに任せ、自分たちはコンテンツ制作やマーケティング活動に100%集中できる状態」です。当社が保守・運用・障害対応までを含めた「KUSANAGIマネージドサービス」を提供することで、Webシステムは単なる道具から、ビジネスを成功へ導く「完全なパートナー」へと昇華します。
ギャップを埋める視点が「真の価値」を生み出す
テクノロジーの進化は日進月歩ですが、マーケティングの視点が欠けると、私たちはつい「コアプロダクト(機能)」の優秀さばかりを語ってしまいがちです。しかし、顧客が見ているのは機能表ではありません。「その製品を使えば、自分のビジネスがどう理想に近づくか」という未来です。私たちはWordPressというコアに対し、KUSANAGIという技術で性能を拡張し、マネージドサービスで運用課題を解決する。このギャップを埋める一連の流れ(ホールプロダクト化)によってお客様Webサイトが「真の価値」を生み出すことを信じ、製品とサービスの両面から数多くのお客様の「ビジネスゴール」を支える取り組みを行っています。
政治・経済・社会・技術。私たちを取り巻く環境は常に変化し、テクノロジーの進化とビジネスゴールの間には常にギャップが生まれ続けます。このギャップをどう埋めるのかが私たちの最大の挑戦であり、存在意義でもあります。変化を恐れず、テクノロジーとビジネスの架け橋となることで、変化の激しい時代を勝ち抜くための「真のパートナー」として、常にお客様の隣走者でありたいと考えています。
当社の企業理念である「すべてはエンタープライズOSSエコシステム発展のために」にはこうした思いが込められています。
https://www.prime-strategy.co.jp/about/philosophy/
次回のコラムでは、「KUSANAGIの高速化が具体的にどのようにマーケティング指標を改善するか」に焦点を当て、技術的な優位性がビジネス成果に直結するメカニズムを解説します。お楽しみに!
KUSANAIについて知る⇛https://kusanagi.biz/kusanagi-licenses/
KUSANAGIマネージドサービスについて知る⇛https://kusanagi.biz/managed-service/
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