【設定方法解説!】WordPressサイトのバックアップは自動化しよう

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WordPressサイトの運営において、バックアップは最も重要なセキュリティ対策の一つであることを否定する人はいないと思います。しかし、皆さんのWordPressサイトは十分なバックアップをしていますでしょうか

「手動で定期的にやっているよ」という方もいると思いますが、手動でのバックアップは忘れがちで、いざという時に古いデータしかない、という状況になりかねませんし今までそういった事例も見てきています。

そこでこの記事では、WordPressのバックアップを自動化する方法について、バックアップの種類から具体的な設定手順、おすすめツールの比較まで詳しく解説します。

WordPressサイトのバックアップとは?

本題に入る前に、そもそも「WordPressサイトのバックアップ」というものについて説明します。
これは、ウェブサイトを構成するすべてのデータを複製して、別の場所に保存しておくことです。

スマートフォンのデータをバックアップすることが当たり前になった今ではとても馴染みのある言葉だと思いますが、目的によってバックアップを行う対象が異なるということです。

WordPressサイトの場合ですと、以下のデータが主要なバックアップデータとなります。

WordPressのバックアップに含まれる主要データ

【コンテンツのデータ】

  • 投稿記事・固定ページの内容
  • WordPress上の画像・動画などのメディアファイル
  • お客様情報・お問い合わせ履歴 等

【システムのデータ】

  • WordPressサイトの設定情報・デザイン
  • プラグインの情報・設定
  • ユーザーアカウント情報 等

なかなか、バックアップ対象というのは多いですよね。

WordPressサイトにバックアップが必要な理由

それでは、これらのたくさんのデータをバックアップすることは、なぜ必要なのでしょうか。大きく2つの観点を紹介します。
「ビジネスリスク」と「復旧コスト」です。

ビジネスリスクの観点

まずビジネスリスクの観点ですが、1つ目が「サイト停止による機会損失」です。様々な理由でWebサイトは止まってしまうことがあります。すると、本来サイトが利用できていたら得られていたであろう収益を失ってしまう=機会損失 が発生します。

これはあくまで試算ですが、1時間あたり100万円を売り上げていたECサイトがあったとします。1日で1,200万円の売上です。ある日3時間のサイト停止が発生した場合、単純計算で機会損失額は300万円ということになります。これはかなり大きいです。

2つ目が「顧客信頼の失墜」です。1つ目にも関わりますが「サイトが見れない」は企業の信頼性に直結するものです。これはECサイトでもメディアサイトでもコーポレートサイトでも同じことが言えます。

3つ目が「SEO順位の下落」です。長期間のサイト障害が発生してしまった場合、長期間該当サイト/ページが閲覧できないということで検索順位にも悪影響となります。

復旧コストの観点

続いて復旧コストの観点ですが、バックアップをしっかり取っていた場合にはサイト閲覧の不具合が発生していたらバックアップから問題の前の状態に戻せばいいわけです。ですので、数分~数時間で復旧が可能になりビジネスリスクの問題を最小限にできます。一方、バックアップをしていない場合には数日~数週間単位での復旧作業となるためビジネスコストの問題がどんどん膨れ上がっていきます。

つまり、バックアップはWordPressサイトを持っている人/企業は絶対にやっておくべきことと言えます。

WordPressサイトのバックアップの種類と頻度の最適化

WordPressサイトのバックアップには複数の種類があります。そしてそれぞれ異なる目的と頻度で実行する必要があります。
よく使うところで言うと「イメージバックアップ」と「WordPressのバックアップ」です。順番に紹介していきます。

イメージバックアップ

聞き馴染みがない言葉かもしれません。クラウドサーバを扱っている人は知っている人も多いと思いますが、「イメージ」というのは利用しているサーバのOSやその設定、アプリケーション、データなどのシステム全体丸ごとのことです。
ですのでサーバ自体を丸コピしてバックアップとして置いておくような感じです。

運用としては、クラウドサーバ等で「スナップショット」というある時点におけるサーバ全体丸ごとコピーを作ります。用途としては、例えばサーバ側のデータ破損やセキュリティの問題が考えられる際、システムのアップデート時等に使われるものです。

プライム・ストラテジーで提供している「KUSANAGIマネージドサービス」という企業様のサーバ~WordPressまでを一気通貫でフルマネージドで保守運用するサービスでも使っている手法です。

イメージバックアップを使う場合も当然自動化をさせましょう。AWSなどの主要クラウドでは定期バックアップも簡単に設定できます。サイトによりますが重要なサイトの場合は毎日バックアップ(デイリーバックアップといいます)を基本にして3~7世代(3~7日分)保持するという運用が良いと思います。

ちなみに、イメージバックアップとは違うのですが、例えば利用されているサーバがレンタルサーバやVPSなどの場合はサーバ側のサービスでバックアップ設定ができるものもあります。皆さんが使っているサーバの管理画面を調べてみてください。

WordPressのバックアップ

WordPressのバックアップはプラグインを使う方法が簡単です。先程のイメージバックアップとの違いをお伝えしておくと、WordPressのバックアップはWordPressに関係するデータのみをバックアップします。具体的には、以下です。

  • データベース
  • WordPressのコアファイル
  • テーマ
  • プラグイン
  • アップロードされたファイル(画像など)

そのため、サーバ側の問題が発生したとしてもこのバックアップファイルでは対応ができません。WordPress保守の観点からは、例えばプラグインやWordPressコアのアップデートを行う際の復旧データとして考えておきましょう。

有名どころを2つ紹介します。これらは、バックアップだけでなくリストア(復旧)の機能もあるためとても便利です。

BackWPup

無料で高機能なバックアップが可能なプラグインです。
日本語にも部分的に対応しているため使ってみやすいものです。無料版と有料版があり、無料版の機能もかなり充実しています。WordPressサイトのバックアップは一通り取得でき、自動バックアップのスケジュール設定が可能です。更にファイルだけでなくFPTやDropbox、Amazon S3などの様々な保存先にバックアップファイルを格納できるのが魅力です。

迷ったらまずはこれを試してみるのがいいと思います。

手順としては、WordPress管理画面のプラグインメニューから「BackWPup」を検索しインストール、有効化します。

すると設定画面が出てきますので、「ファイル」と「データベース」がONであることを確認して次に進みます。

続いて、バックアップの頻度を選べます。対象のWordPress自体をどれくらい更新するかでここの頻度は決めるのがいいですが、毎日なんらかの記事が公開されている、修正がされているという場合はDailyにしておくのがいいです。

最後にバックアップファイルを格納する場所を選択する画面になるので、利用しやすい場所を選んで接続します。

たったこれだけで定期バックアップの仕組みができてしまいます。

UpdraftPlus

UpdraftPlusもとても強力なバックアップのプラグインです。バックアップを簡単に取得できるだけでなく、プラグインの機能で1クリックで復元ができてしまいます。

使う場合は、BackWPup同様にWordPress管理画面のプラグインメニューから新規インストールを行います。

するとUpdraftPlusの設定画面が出てきます。実は手動であればすぐにバックアップができるボタンが出てきます。

WordPress保守の観点で運用を自動化する場合は、「設定」タブでデイリーバックアップの7世代保持などサイトの運用にあったバックアップを設定しておき、適切な保存先を指定します。

これだけで完了です。バックアップと聞くと少し難しそうですがプラグインを使うと比較的簡単に実現ができます。

「バックアップ取ってないかも」「バックアップしていないからすぐにでも対応しないと」という方は、参考にしていただけたらと思います。

バックアップからの復旧までがとても大事

ここまでは、WordPressサイトにおけるバックアップの種類と方法を説明してきました。バックアップが心配な方は、まずはプラグインを使った実現方法やお使いのレンタルサーバ/VPS等の機能としてある場合はそれも検討するのがいいでしょう

しかし、バックアップを取得しただけではまだ半分です。大事なのは何かあった際にこのバックアップから復旧がしっかりできることです。

そのため、プラグインでバックアップを取得した後は、復旧できるかどうかのテストをしましょう。

よくある復旧時の問題ケース

復旧も一筋縄ではいかないことがあります。

1つ目は、バックアップデータの破損です。「そんな事あるの?」と思われるかもしれませんが実際に可能性としてあります。バックアップ取得時のエラーによるファイル欠損、ストレージ障害による破損、暗号化エラーなど理由は様々です。

2つ目は、環境差による復旧不可です。バックアップ元と復元先のPHPのバージョン差異、データベース設定の相違、サーバ設定の差異などが原因となります。

そして3つ目が手順ミスです。復元の順序を誤ってしまう、設定ファイルの上書き忘れ、権限設定の不備などで発生し得ます。

ですので、いざというときにしっかり復旧ができるのかは、バックアップを取得し始めたタイミングでテストをしておきましょう。

復旧テスト

復旧テストは、バックアップ元とは別の環境を用意して行います。例えばサブドメインでテストや検証用のサイトを用意して実施する方法です。以下のようなイメージです。

本番サイト:https://www.prime-example.co.jp
検証用サイト:https://test.prime-example.co.jp

もしくは、ローカル環境を使ったテストとしてXAMPP等で実施する方法があります。

復旧時にチェックをすべきこと

復旧テストをしてみたとして、「どこを確認して、問題ないのかを判断するのがいいか?」という壁があります。必須項目としては以下になります。

復旧時のチェック項目
  • Webサイトの主要ページの表示確認
    • トップページ
    • 投稿ページ
    • 固定ページ
  • 管理画面へのログインができるか
  • 画像やメディアファイルの表示は問題ないか
  • プラグインは問題なく動いているか
  • フォームは問題なく動いているか(WordPressのプラグインを使っている場合)
  • EC機能は問題なく動いているか(ECサイト機能を使っている場合)

バックアップはとても大事です、不安であれば取っておき復旧体制も万全にしましょう

ここまで、WordPressサイトの保守の観点でとても大事なWordPressサイトのバックアップについて取り上げてきました。WordPressサイトのバックアップの種類から、具体的な対応方法、復旧の重要性、復旧テスト、チェック項目まで見てきました。

バックアップについては、多くのサイトでは取得がされていると思うのですが新しいサイトや急ぎ立ち上げたサイトなどでは対応が十分ではないかもしれません。また、バックアップ用のプラグインは入っていて動いているようなのですがバックアップファイルがどこに入っているのか分からない、というケースも見かけます

しっかりとWordPressサイトを守る1つの手段としてバックアップ体制と復旧体制は明確にした上で、より良いコンテンツを届けていきましょう。

この内容が皆さまのお役に立てましたら幸いです。

プライム・ストラテジーでは、企業様のWordPressサイトのサーバからWordPressまでを一貫して保守運用する「KUSANAGIマネージドサービス」を展開しています。セキュリティ、安定稼働、表示速度を手放しで最適な状態にし、お客様がWordPressサイトを利用してより良いビジネスをしていただくサポートを致します。ご興味ある方は、ぜひご覧ください。

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執筆者/穂苅 智哉(プライム・ストラテジー株式会社  マーケティング&セールス部 マーケティング室 室長)

2016年からプライム・ストラテジーに入社し、営業・ディレクター・マーケティング・アライアンスを経験。
2021年から、外資IT企業にてパートナービジネスを担当する、Partner Development Managerとして、数十のパートナー企業様を担当し、双方のビジネス拡大のために活動。
2025年から、再びプライム・ストラテジーにてマーケティング室 室長として社内マーケやパートナープログラムなどを担当。

仕事以外では、旅行、釣り、ロードバイク、ドライブ、温泉・サウナ、ジャズ、カフェ巡りなどアクティブ派。今年はパラグライダーとキャンプをやってみたい。

主な著書:WordPressの教科書5.x対応版、WordPressの教科書6.x対応版

Tomoya Hokari

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