Webサイトを運用している割合として、WordPressを利用している割合はとても多いです。W3Techsのデータ(※1)によると、WordPressは世界中のCMSの61.2%で利用されており、すべてのWebサイトの43.5%がWordPressということです。
(※1)https://w3techs.com/technologies/details/cm-wordpress
そんなWordPress、何と言っても使いやすさは群を抜いています。更に豊富なプラグイン(拡張機能)によって、コーディングせずとも様々な機能を持たせたWebサイトができてしまいます。
一方で、昔から言われているのが「セキュリティへの不安」と「表示速度が遅い」ということです。
そこで、WordPressの表示速度を改善するための基礎知識を紹介します。
そもそも、なぜWordPressは遅くなるの?

WordPressは、CMS(Content Management System)の中で圧倒的なシェアを誇っている理由に使いやすさがあることは先ほど述べましたが、それを実現しているのが「動的な」システムであることです。
「動的な」システムでは、Webサイトに表示する情報(画像、テキストなど)をデータベースに格納しておき、閲覧者からのアクセスに応じて必要なデータをそのデータベースから出力して都度ページ生成を行います。これだけ見ても、手順が多そうなことが分かりますが、ブラウザからWebサーバとのやり取り、データベースとのやり取り、ページを組み立てて表示させるやり取りなどが発生するため、工程が多く発生します。
一方で「静的な」システムでは、Webサイトに表示するための完成されたページが用意されておりそれをリクエストに応じて表示させるという仕組みのため、処理の工程がとてもシンプルです。
ただ、「静的な」システムでは更新性や情報の出し分けが課題になることがあるため、Webサイトの性質によっては多少制約がかかってしまいます。
まとめると、WordPressが遅くなる原因は、ページの表示までの工程が多いからだということになります。
WordPressサイトを高速化するには?
ということは、このそれぞれの工程を最適化することでWordPressサイトの高速化ができそうです。
WordPressを高速化するためには、大きく2つの要素に分けて考えます。フロントエンドとバックエンドです。

まずは、フロントエンド側の対策です。
フロントエンド側の高速化対応
フロントエンドに関しての原則は「軽量化」です。
画像最適化
多くのケースでは、画像ファイルが重たいために読み込みに時間がかかり表示が遅くなっています。そこで、Webサイトにある写真等の画像サイズや容量を確認しましょう。また、pngやjpegといったファイル形式ではない次世代画像フォーマットのWebP(※2)の利用も検討しましょう。WebPはGoogleが開発した画像フォーマットで、pngやjpegよりも圧縮率を高くしながら画質を保ってファイルサイズを小さくできます。
(※2)https://developers.google.com/speed/webp?hl=ja
WordPressであれば、「EWWW Image Optimizer」(※3)などのプラグインで対応が可能です。
(※3)https://wordpress.org/plugins/ewww-image-optimizer/
ファイルの最適化
WordPressだけではないですが、Webサイトにはたくさんのファイルが使われます。代表的なところでは、HTML、CSS、JavaScriptファイルなどがあります。これらが原因でWordPressが重くなることがあります。
例えば、不要なスペースやコメント、不要な処理などはWebサイトを重くする要因ですのできれいにすることが重要です。
また、複数のCSSやJavaScriptファイルを1つにすることでリクエスト数を減らし高速化対策を取るということもできます。
キャッシュ戦略(CDNの利用)
適切なキャッシュ戦略も検討しましょう。例えばCDNです。CDNはContents Delivery Networkのことで、Webのコンテンツを世界中のサーバにキャッシュしておくことで閲覧者に物理的に近い場所から配信するというものです。当然近いところのサーバが利用できると通信速度が短縮されるため高速化されます。
ちなみに、CDNサービスは色々ありますが、WordPressプラグイン(例:Cloudflare や CDN Enabler)をインストールし、CDNのAPIキーを入力して利用できます。
これらの対策を取ることで、フロントエンドの高速化を実現できます。
続いて、バックエンド側の対応を見ていきます。
バックエンド側の高速化対応
バックエンドは、どちらかというとサーバ側の話になります。WordPress自体に関してもこのバックエンド側の方で取り上げます。

WordPress最新版の利用
まずは、WordPressの最新版を利用しましょう。WordPressも日々進化をしており、処理速度に関してもバージョンが上がるたびに向上しています。ちなみに、執筆時点で最新のWordPress 6.8であれば、Speculative loading(投機的読み込み)機能などが実装され高速化が実現しました。
より詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
WordPress 6.8新機能のSpeculative Loadingについて徹底解説!
キャッシュ戦略
WordPress側のキャッシュについても適切に利用することが重要です。
WordPressの軽量化
また、WordPress自体の軽量化は取り組みやすいかもしれません。例えば、利用しているテーマを軽いテーマにする、プラグインなどで使っていないものは止める・削除する、リビジョンの削除などでデータベース側を最適化する、などです。リビジョン設定としてwp-config.phpに以下を追加してリビジョン管理を最適化させることも有効です。
define('AUTOSAVE_INTERVAL', 300); // 自動保存間隔を5分に
define('WP_POST_REVISIONS', 3); // リビジョン保存を3つに制限
define('EMPTY_TRASH_DAYS', 7); // ゴミ箱の保持期間を7日に
ミドルウェアの最新版利用
ここからはサーバ側の話ですが、まずはミドルウェアの最新版利用です。
WordPressはPHPを利用していますが、PHPもバージョンが上がるにつれてパフォーマンスがどんどん向上しています。執筆時点で最新版であるPHP8.4では、JITの強化や非同期プログラミングとメモリ管理の最適化が行われています。
データベース最適化
データベースの最適化も重要です。WordPressであればMySQLやMariaDBを使っているケースが多いと思います。その際ですが、Query Cacheの導入やInnoDBのキャッシュサイズを拡大する(innodb_buffer_pool_size)といった対応があります。
いずれも、データベース側の設定変更となりますのでエンジニアリングが必要です。
Webサーバソフトウェアなど
Webサーバソフトウェアとして有名なのは、Apache や nginx です。
nginxであれば、例えばFastCGIキャッシュを使ったキャッシュ戦略を取ることが有効です。また、レスポンスデータを圧縮するための仕組みであるgzipやbrotliを利用すると通信速度向上や帯域幅の節約に寄与します。
その他、HTTP2/HTTP3を利用することによる高速化対策も可能です。
まとめ:WordPressの高速化はできるところから。ただ、専門知識が必要。
WordPressの高速化は対応するポイントがある程度明確です。しかし、実際に実施するとなるとフロントエンドの知識や経験とバックエンドの知識や経験が必要なため、なかなか難しいものです。
まずはできるところから実施して、高速化が実現できそうかをチャレンジしてみてください。
なかなかうまく行かない場合は、当社プライム・ストラテジーのKUSANAGIを使ってみていただくことをおすすめします。KUSANAGIはサーバ側の高速化を実現できるサーバ環境です。今回紹介したような高速化が詰め込まれているソリューションです。
KUSANAGIについてはこちらもご覧ください。
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プライム・ストラテジー株式会社 マーケティング部 ビジネス推進室 室長
2016年からプライム・ストラテジーに入社し、営業・ディレクター・マーケティング・アライアンスを経験。
2021年から、外資IT企業にてパートナービジネスを担当する、Partner Development Managerとして、数十のパートナー企業様を担当し、双方のビジネス拡大のために活動。
2025年から、再びプライム・ストラテジーにてビジネス推進室室長として社内マーケやパートナープログラムなどを担当。
仕事以外では、旅行、釣り、ロードバイク、ドライブ、温泉・サウナ、ジャズ、カフェ巡りなどアクティブ派。今年はパラグライダーとキャンプをやってみたい。
主な著書:WordPressの教科書5.x対応版、WordPressの教科書6.x対応版