
こんにちは、ゼノクリース合同会社の齋藤です。このコラム記事では、企業の Web ガバナンスや最新情報について紹介しています。
Web担当者「データはあるけど、何をすればいいか分からない」
- GA4 (Google Analytics 4) やサーチコンソール (Google Search Console) のダッシュボードを毎日見ている
- アクセス解析ツールも導入している
でも、「で、結局何をすればいいの?」という状態になっていませんか?
これは多くのWeb担当者が直面している課題です。
実際、2025年3月31日に富士フイルムビジネスイノベーション株式会社から発表された調査結果でも、この悩みを抱えているWeb担当者がかなりいることが分かっています。
参考: 【Webサイト運用の課題、改善の効果は?】8割以上が、Webサイトの運用に「課題」を実感 そのうち約6割が「分析結果を具体的な改善施策に結びつけられない」と回答 – 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
調査対象は、事業会社に勤めるWeb広告運用担当者500名です。その事業領域自体の知識はあるという方々でというのが、なかなか驚くべきところです。
この調査結果で浮き彫りになった課題は、主に以下の通りです。
- 「分析結果を具体的な改善施策に結びつけられない」
- 「アクセス解析データの適切な分析ができていない」
- 「更新や運用に十分な時間や人員を割けていない」
- 「かけた時間に対する利益を感じられていない」
さらに注目すべきは、アクセス解析ツールへの不満です。「非常に満足している」が9.6%で「やや満足している」が34.2%と、合わせても過半数を割っています。
Webマーケティング領域におけるSaaSの領域はレッドオーシャンと言われており、生成AIによってGoogle Apps ScriptやPythonを使った分析や自動化もどんどん進む昨今ではありますが、実際にユーザーが満足感・納得感を持ってデータ活用を施策に繋げられているという状況からはまだ距離感があるということです。
なぜWeb担当者の課題として、「分析 → 施策」が繋がらないのか?
私はこれまで多くの企業のWeb運用を支援してきた経験から、この問題は各人のスキル不足だけではなく、Webガバナンスを整備しきれていないことから生じてしまっている構造的な問題だと考えています。
現場でよくある3つのパターンを見てみましょう。
パターン1:データの孤島化
GA4、サーチコンソール、広告プラットフォーム、SNS解析、ヒートマップツールなど、各ツールが別々に動いていると、横断的なデータ分析ができないため、組織全体でのデータ活用が困難になります。
例えば、マーケティング部門、営業部門、情報システム部門が各々異なるツールを使用していたり、「〇〇事業部のGA4へのアクセス権限が分からなくなってしまった」など、担当者の離職などでデータが見えなくなってしまうことも多々あります。
パターン2:意思決定プロセスの不明確さ
例えば「離脱率が70%を超えている」というデータを見つけたとします。では、次に何をすべきでしょうか?
- 誰がこのデータを見て判断するのか?
- どのような基準で「問題あり」と判定するのか?
- 誰が改善施策を決定するのか?
- どの会議体で意思決定を行うのか?
- 承認プロセスはどうなっているのか?
これらが明確でないと、データを見ても「で、誰が何をするの?」という状態になります。
パターン3:ツールとワークフローの乖離
高機能なBIツールを導入しても、現場のワークフローに合っていなければ使われません。自動生成されるレポートは美しくても、次のアクションが見えないのです。
私の印象としては、ツールありきではなく、ワークフローありきで導入すると上手くいくことが多いです。
現場での業務の流れ(1週間とか、1ヶ月とか)の中で、上手くPDCAサイクルの”C”の部分に組み込まれるようにすると、かなり良い効果が出ると思います。
実際、コンサルタントや開発会社に頼んだり、エンタープライズ向けの年間数百万円単位のソリューションを導入しても、誰も見なくなってしまったら全く意味がありません。
上記のようなものより、現場の担当者が普段の感覚で作成したExcelやスプレッドシートの方が、より現実に即していて使いやすいということは多々あります。
どうすればデータ分析の結果を施策に繋げられるようになるのか?
細かいお話や個別の事例などは今回のコラムでは書ききれませんが、上記の問題点の逆を行うようにすると、データ活用の取っ掛かりが掴めると思います。
私自身、大学が統計専攻だったこともあり、学部レベルの統計を学習していたのですが、(もちろんデータサイエンティストや機械学習などの高度な手法は実務でも使われていますが)実際に私がWebマーケティングの現場で活用していた手法は、ほとんどが高校数学で完結する範囲のものでした。
どちらかというと、どのようにデータを統一的に取得するか、どのように分析結果をワークフローに組み込んで改善していけるかという、データの分析以前のことが重要な印象があります。
もちろん、これらができている上でデータ分析の手法やツールを使えば、より良い結果が出ることは間違いありません!
プライム・ストラテジーでは、こうした現場レベルのWebガバナンス設計と実装を、技術とコンサルティングの両面からサポートしています。
プライム・ストラテジーの提供するこれらのサービスは、効果的なデータ活用の土台を作っていくために非常に役立つと考えています。
私の経営しているゼノクリース合同会社でも、オウンドメディアやコーポレートサイトの構築や運用、データ分析なども行っておりますので、ご興味があればぜひお気軽にご相談ください!

【著者】
ゼノクリース合同会社 代表(Web)
齋藤智樹
在学中から高校や予備校、IT 企業に携わり、講師とソフトウェアエンジニアとして活動。
大学卒業後 (2020年4月〜) はフリーランスエンジニアとして活動を始め、以下のような幅広い業務を行う。2021年3月に、業務を拡大させるためにゼノクリース合同会社を設立。スタディングテックの WEB 開発コース主任講師も務める。

プライム・ストラテジーでは、Web担当者様、IT担当者様などの
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