オウンドメディア構築・運用の「フォーム / DL 資産」の総点検をする | Webガバナンス

  • Bookmark
  • -
    Copy

こんにちは、ゼノクリース合同会社の齋藤です。このコラム記事では、企業の Web ガバナンスや最新情報について紹介しています。

オウンドメディアを構築・運用する際、後回しにされがちなのが「過去からの積み重ね」の管理です。キャンペーン LP、資料 DL、各種フォーム、サブドメイン、解析・広告タグなど。これらを適切に管理しないと、法令違反・ブランド毀損・運用破綻などの問題が発生します。

この記事は、編集・広報・マーケ・情シスが一緒に安全な運用体制を作るための道筋を、基本から整理します。

オウンドメディアの総点検、まずは全体観を把握 〜何を、どう管理するか〜

構築・運用では「追加 / 継続 / 終了 / 置き換え」の 4 つの判断を各資産で行います。判定の軸はシンプルで OK!

オウンドメディアの総点検!判定の軸
  • 法に合っているか(目的の適合、保存期間、外部送信の説明・同意)
  • ブランドイメージに合っているか(古い情報で誤認を生まない)
  • 運用しやすいか(更新・削除・台帳管理などを効率的に回す)

この 3 つの軸で問題が生じないよう、構築段階から設計します。

1. フォームは”目的と保存期間”から設計する

個人情報は「目的の範囲内」「必要な期間のみ」が原則。利用目的を変えるなら、同意の取り直し等の適切な措置が必要です。

ポイントは以下の 2 つです。

  • そのデータ、何の目的で持つ?
  • どれくらいの期間、持ち続ける?

個人情報は「利用目的の達成に必要な範囲」で取り扱い、不要になったら消すのが基本線。構築時にフォームごとに利用目的を一文で書き、保存期間(例: 90 日 / 1 年など)を決めます。ここが曖昧なままフォームを公開すると、後で”停止 → 設計し直し”になるリスクがあります。

構築時から、フォームごとに目的・項目・保存期間・削除フローを設計しましょう。この段階で、きちんとスプレッドシートや Excel, 台帳などにまとめておきます。

参考: 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編) | 個人情報保護委員会

2. Cookie 等の外部送信は”台帳 → UI”の順で設計

2023 年施行の外部送信規律は、ウェブで第三者に情報が送られるとき、送信先/送信される情報/利用目的の通知・公表や、状況に応じた同意・オプトアウトが求められます。

参考: 自分に関する情報が第三者に送信される場合、自身で確認できるようになります。 | 総務省
参考: 電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドラインの解説 | 個人情報保護委員会

構築時に台帳(後述)を先に作る → ポリシー/同意 UI に反映するのが一番ラクです。

構築段階から外部送信台帳を作り、「何を」「どこへ」「何のために」送っているかをきちんとスプレッドシートや Excel, 台帳などにまとめておきます。

「送信先ドメイン」単位で列挙すると分かりやすいです。(解析・広告・AB テストなどの目的も一行ずつ)

3. LP/サブドメインは”終了フロー”も一緒に設計

CNAME などの設定が残ったままサービスを終了すると、第三者が同じ先を占有して正規ドメイン風の不正ページを出せてしまいます。構築時に終了時の DNS 撤去フローも設計しましょう。ゾーン差分の定期チェックも組み込むとなお良いです。

(ここについては、以前のコラムでも取り上げています → 社内で忘れ去られたドメイン設定が、会社の信頼を失いかねない爆弾に…)

4. フォーム → メール配信は構築段階から法令準拠で

資料請求やメルマガ登録からの配信は、特定電子メール法のオプトイン取得・同意の記録・表示義務・簡便な配信停止まで通しで揃える必要があります。
参考: 特定電子メールの送信等に関するガイドライン | 消費者庁

「同意を誰に対して与えたのか」「何に同意したのか」が認識できる UI、配信停止の導線を構築段階から明確に設計すると良いです。

構築時に避けるべき設計は、以下のようなものです。

  • 資料 DL に便乗してメルマガをデフォルト ON で同意させる
  • 配信停止が複雑、または記録の仕組みがない

目先のリード顧客数を増やせたとしても、これはシミュレーションゲームではなく、目の前には一人ひとりの人がいます。コンプライアンスを守ることはもちろん、ブランドイメージや信頼を毀損しないように、気をつけて構築していく必要があります。

まとめ

オウンドメディアの構築では、「とりあえず公開してから考える」が最大のリスクです。構築段階で台帳 → UI → 運用フローを一気に設計しておくことで、後々のブランド毀損や法令違反のリスクを大幅に減らせます。

運用体制の策定には、『Web ガバナンスガイドライン(β 版)』が良い目安になると思います。こちらは無料でダウンロードできるものなので、ご興味があればぜひお役立てください!

Webガバナンスガイドライン
Webガバナンスガイドラインのダウンロードはこちらをクリック

【著者】
ゼノクリース合同会社 代表(Web
齋藤智樹

在学中から高校や予備校、IT 企業に携わり、講師とソフトウェアエンジニアとして活動。
大学卒業後 (2020年4月〜) はフリーランスエンジニアとして活動を始め、以下のような幅広い業務を行う。2021年3月に、業務を拡大させるためにゼノクリース合同会社を設立。スタディングテックの WEB 開発コース主任講師も務める。

プライム・ストラテジーでは、Web担当者様、IT担当者様などの
お役立ち資料やYouTube動画を公開しています。ご興味ある方はぜひご覧ください。

  • Bookmark
  • -
    Copy