
- 利用していたシステムの一部が古いバージョンのまま運用されており、セキュリティ対策を強化する必要があった。
- 広島県のインフラマネジメント基盤(DoboX)とデータ連携したい。
- 記事投稿のデザイン性が高くなく、更新性にも問題があり、空き家情報の登録にかかる負担も大きかった。
- Webサイトのパフォーマンス性を向上させたかった。
- Webシステム全般を刷新することで、セキュリティ対策を強化できた。
- ノーコードで記事を更新できるようになったため、専門的な知識を必要としなくなった。
- 各自治体の担当者によって空き家物件情報登録ができるようになり、住宅課の負荷が軽減した。
- KUSANAGIの導入でアクセスピーク時でもパフォーマンスが低下しないWebサイトができた。

地域の防災・防犯機能低下に多大な影響を持つ空き家、広島県でも対策を強化
昨今、人口減少・高齢化の進行に伴って空き家は全国的に増加しており、適切な管理がされていない空き家が増加している。その結果、地域の防災・防犯機能が低下し、景観の悪化などが懸念されているが、一方で、貴重な地域資源として、地域活性化や移住・定住促進に繋がることが期待されている。そのため多くの都道府県で空き家を有効活用すべく様々な対策が行われている。
実は広島県では、全国平均を上回る数の空き家が存在しており、広島県庁でも生活環境の保全や空き家の活用促進のため、広島県空き家対策推進協議会を立ち上げ、対策を行っている。その中心的な役割を担っているのが広島県庁住宅課だ。同課では空き家対策のほか、住宅施策の企画調整、県営住宅の整備や管理も担っているという。
そうした中で同課が行っている施策の一つが『ひろしま空き家バンク みんと。』だ。このサイトでは、広島県内にある空き家物件の情報や実際に空き家を活用して素敵なライフスタイルを送っている方の事例の紹介など、空き家の魅力を分かりやすく発信し、空家活用希望者と市町空き家バンクのマッチング支援をしている。同サイトの閲覧者は7割が県外からのものになっており、県外への情報発信が上手くいっているようだ。
広島県庁住宅課の多木智大氏は広島県の空き家対策に関して次のように話している。

広島県内にある空き家の数は全国平均より多く、県内市町が空き家バンクを設置していますが、県外に向けての発信がどうしても弱いと感じていました。
そこで2017年3月、県外に空き家情報を発信する目的で『ひろしま空き家バンク みんと。』を開設しました。市町村にある空き家物件と補助金情報を掲載し、空き家を活用したいと考えている人と市町空き家バンクとのマッチング支援を目的にしています。
特徴的なのは、他県では各自治体(市町村)が運営するサイトのURLのみが掲載されているものや、掲載情報も該当の市町村の範囲に限定されているものが多いのですが、広島県の場合は『みんと。』に直接物件の情報を掲載しているため、県内の物件を市町村問わずに横断的に検索することが可能になっています。広島県に興味を持ってくれて空き家を探しに来る県外の方からしても、市町村ごとにサイトを回って空き家を見ていくよりも横断的に見ていく中で気に入った物件や街を見つけていく方が良いと思います。
明らかになったWebサイトが抱えるセキュリティ面の課題
そんな中、それまで「みんと。」の運営を委託していた事業者が2023年に撤退することが決まり、別の事業者を探す必要が出てきたという。ちょうどその頃、インフラマネジメント基盤「DoboX」とのAPI連携の計画も立ち上がっていたため、データ連携も得意な委託先を探していた。同課が多くの事業者と面談を重ねていく中でWordPressや検索システムが、かなりバージョンが古いものを使用しており、早急なセキュリティ強化が必要になっていたことが明らかになったという。
多木氏はサイトが抱えていた課題について次のように語っている。
使っていたWordPressや関連する他のシステムが古いバージョンのまま運営されており、脆弱性がある状態ということがわかりました。仕様書にもシステムのバージョンアップ関連は含まれておらず、今更直そうにも難しい状態でした。ちょうどDoboXとのデータ連携が必要だったこともあり、事業者の変更を機に全て作り変えることにしました。また、空き家情報の更新は私が行っていましたが、負担が大きいところもなんとかしたいと考えていました。
そこで、公募型プロポーザルを実施し、セキュリティ強化とAPI連携に強く、また、空き家法における県の役割を理解しているということで、新たな委託先としてカンドウコーポレーション様を選定しました。
続けて、カンドウコーポレーション 執行役員CTOの高味至星氏はサイトが抱える脆弱性について次のように補足している。

以前のサイトはWordPressで運営されており、検索機能の部分など、カスタマイズが入っている部分がかなりありました。
そのため、WordPressをバージョンアップすることで、検索システムとの整合性が取れなくなる可能性が高く、WordPressのバージョンアップができないまま運用されていたのではないかと推測しています。
Movable Typeの最適化も行うKUSANAGIでパフォーマンス性の高さを担保
新サイトは、フロントにMovable Typeを採用した。物件管理システム側はAPI連携が必須だったことに加え、物件データの管理や更新性を高めるためにスクラッチで作った方が良いだろうと判断し、APIベースでスクラッチ開発することになった。同時にWebサイトのデザインも刷新することにした。
Movable Typeの作り込みによって、読み物記事や情報発信記事はノーコードでも更新できるようにしたという。また、フロントのMovable Typeと物件管理システムは、すべてAPI連携で開発し、デザイン性や簡易な情報発信、高度な検索機能を両立している。物件データの管理は、一括入力できるような仕組みを持たせるなど更新のしやすさに配慮し、さらに、市町村の担当者に部件更新権限のあるアカウントを割り当てることで、担当者負担の軽減、物件数の増加につなげている。
DoboxにはAPI連携で「みんと。」の物件情報を提供している。
バックエンドにはDoboXでも利用されているAWSを採用し、同時にパフォーマンスをよくするためにKUSANAGIを導入した。そのため、Movable Typeとシステム側の双方のレスポンスが良好で、アクセス集中時でも検索機能を含めパフォーマンスに好影響を与えているという。

今後は民間企業とも連携を取りながら、移住希望者への魅力を伝えていく

最後に、今後の「みんと。」の展開や広島県の空き家物件に対するアプローチについて、それぞれの担当者に聞いてみたところ次のように話してくれた。
広島県庁の多木氏は今後の広島県の空き家対策についてこう語っている。
広島県としては、空き家の市場流通をさらに増やしたいと考えており、空き家バンクだけでなく、民間企業とも協力して空き家所有者の方々へ呼びかけをしていきたいと考えています。
市場に空き家情報が増えていけば、県外の移住希望者や空き家を使って何かをしたいと考えている方が豊富な選択肢の中から住宅を選べるようになります。住まいを理由に移住を諦めるといったことが無くなるよう、空き家所有者の方々に空き家バンクという仕組みを知ってもらい、流通を促していけるようなコンテンツ作りをしていきたいと考えています。
カンドウコーポレーション高味氏は今後の「みんと。」の展開について次のように話している。
いままでの「みんと。」はサイト訪問者と接点をつなぐ仕組みがなく、せっかく訪問いただいても一期一会で音信不通の状態でした。
そこで今回のリニューアルでは、一度サイトを訪問していただいたユーザーに、再度訪問していただく仕掛けを取り入れています。
お気に入り機能に加え、ユーザーの検索条件を記録して、その条件に合った物件が登録された場合、指定メールアドレスに通知が届くシステムも導入し、リピーター増につながっています。現在、ログイン機能は設けていませんが、将来的にはマイページなどの機能も実装し、ユーザーの利便性を向上することも視野に入れています。
プライム・ストラテジーさんにはセキュリティ関連やKUSANAGIの情報を定期的に頂けるとお客様にも提供しやすいので、お願いできればと思います。
続けて、今回ディレクションを担当したカンドウコーポレーション 下川和美氏は広島県の魅力について次のように話してくれた。

広島県は海や山、島と自然が豊かで、少し奥に入ればスキー場もあり、都市と自然の近接性が高い場所です。食べ物もおいしい土地柄です。
最近は自治体が都市づくりを進めるだけでなく、民間企業も自主的に都市づくりに手を上げるようになっており、とても活発な地域だという印象で、非常に魅力のある街だと思います。移住を考える方へそうした魅力も伝えていければと考えています。
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